寺社は「金貸し」であり、その頂点が天皇家?
それは比叡山が中世最大の金融センターだったからである。
寺社はフィナンシャル・グループ!
寺社は「金貸し」であり、その頂点が天皇家?(その2)
官許歴史教科書では、比叡山や本願寺が巨大な勢力で、信長の政治に対立したから紛争になったとしか言わない。寺社がどのようなものだったかはタブー視されている。
寺社は「金貸し」であり、その頂点が天皇家?(その3)
戦国時代は室町幕府が弱体化し、各地に戦国大名が出現して経済的統制が取れなくなったことが背景になって、比叡山延暦寺は日本最大の金貸し業者にのしあがった。幕府がだらしなく、機能していないのだから、法治ができず、それをいいことに比叡山などの寺社は悪辣な営業形態をとった。
高利で貸して、延滞すれば容赦なく僧兵を差し向けて取り立てにかかる。
寺社は「金貸し」であり、その頂点が天皇家?(その4)
寺社には有力貴族や有力武家の子弟が多々在籍していたのである。また、高貴な家柄の子どもの場合、家から大きな支援を受けることも多い。多額の金品を贈られたり、荘園を与えられたりして、それがまた寺社の勢力拡大に結び付いたのである。
そのため、政権といえども、厳しい口出しができないような状態が生まれた
例えば能の世阿弥は興福寺の出である。生け花の池坊は延暦寺が発祥だ。茶道も、作庭も寺社がもとになっている。
古代以来脈々と続く文化は少ないものだ。
日本には大昔の仏像がよく残されていて、支那や朝鮮のようには壊されてもうない、なんてことは少ない。そういう幸運が起きたのは、寺社が裕福だったからではないだろうか。
ところが「日本論」「日本人論」には、経済の問題、とりわけ寺社による支配はまったく欠落していて、タブーである。
こんなことでは、未来に役立つ人間学が成り立つわけがない。
タブーを撃ち破って、宗教を単にココロの問題や政治との関与だけにとどめずに、経済との深い関係や、仏教が行なった悪辣をもっと解明していってほしいものだ。
悪辣非道の半面で、富の蓄積があって、京都から文化が生まれていった。
今回は取り上げなかったが、伊藤正敏氏の『寺社勢力の中世』という秀作もある。彼は「江戸時代以後の歴史書は、中世史を幕府と天皇の対立としてしか描いてこなかった。その姿勢そのものが間違っている」としたためている。
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